創業塾

3年くらい前になりますが、石川県の商工会連合会が主催する「創業塾」に参加したことがあります。前の会社を辞めてこれから自分で仕事をしようと決めていたこともありましたが、なんせ会社の知識なんてちょっと本で読んだくらいで「これからどうしよう」とお気楽に考えていた時でした。近所の商工会に勤めている人に相談したら「創業塾というものがあるから出てみたら」と勧められ、好奇心半分、どんな知識が手に入るかと勝負しに行くような気持ち半分で行ったのを覚えています。

結果からいうと既に知っていることが8割はありました。残り2割は金融の知識(特に手形や小切手の仕組みですね)で、起業に必要なことは実は本で読んだことが大半でした。本人は知識がないと思っていたのですが企業するつもりで色々な物事に遭遇すると、実は結構勉強になっていたということになります。でも、それ以上にこの創業塾で得られたことがあります。起業を考える人は一度はこの手の創業塾に参加すべきです。

一番面白かったのは、起業を考えて自分のビジネスモデルを持っている人でもそれに対し突き詰めた検討をしている人がいない、ということがわかったことでした。「やる気さえあればできる」とか「後から考えればいい」と考えている人が結構多いのです。事例をあげて「Aさんが真っ先に取り組む課題はなにか」といった課題でも答えは資金であったり立地であったり社員教育であったり色々ですが、それは冷静に順序を組み立てるとわかってくる話です。自分のビジネスだとそのような冷静さが失われがちなのだな、と思いました。

時々、新しいビジネスモデルを相談されるのですが、やはり大半が自分の考えの斬新さに目を奪われ、じゃあどうやって会社にしていくの?と言う問いに答えられない場合が大半です。

CNET Japanの梅田望夫さんが書いているBlogで面白い記事がありました。実は起業に関してアメリカと日本では大差ない。むしろ日本の方が有利である点も多い。といった内容です。長引く不況の影響で日本は様々な起業に関する優遇政策を実行しました。特効薬ではないですが、じわじわと効いてきていると言えるでしょう。まさか、アメリカよりも有利な点があるなんて思ってもみませんでした。

起業(新しいビジネスを始めたいと思っている人)を考えている方は、やはり一度はそのビジネスを人に話すべきでしょう。「アイディアを盗まれたらこまる」と考えて相談しない方がいますが、それは間違いです。ビジネスモデル特許を取れるような場合でも弁理士さんに相談しますし、資金調達する場合にもそのアイディアをベンチャーキャピタル(VC)や銀行に話さないと(紙にして説明できる必要があります)、誰も話しに乗ってきません。既に起業している人や、創業塾のような集まりでアイディアを吟味してこそ本当にやれるのかがわかるのです。