ブロードバンド時代の職業

技術系の専門学校の講師を春からさせていただくことになりました。今の若者とコミュニケーションできるのか少し心配でしたが、結果から言うと我々が若かった時とさほど違うとは思いませんでした(向こうがどう思ったかはわかりませんが)。みんな今時の若者らしく、やりたいことがあったり、したいことがわからなかったり、こちらが驚くほど深い知識を持っていたり、春の日差しのように穏やかだったり、個性的でとても好感が持てます。

そんな学生達が目指すものにCGクリエーターというものがとても多かったので、少し考えてみました。織田が教えているのはWeb基礎ですのでホームページの基本であるHTMLについてが主となるのですが、実はHTMLとCG(と言うか動画)にはかなり方向性にギャップがあります。文字や静止画をこつこつとホームページに反映してきた人たちがその進化の過程として動画を取り込んでいくよりも、どちらかというとテレビ業界の製作会社で番組制作している若者が、その制作方式の一つとしてパソコンを使用したFlashやPremiereを取り入れていく、というのが自然に思えます。作曲を昔五線譜で行っていて、今はMacでやってますという人は、プログラムをやっていた人ではなく、作曲というクリエイティブな仕事をしていた人です。CG(と言うか動画)に求められているのは、作曲と同じようなクリエイティブさではないでしょうか。

地上波デジタルの運用を目前に控えて、デジタルコンテンツはあればあるだけ消費される時代になると思われます。コンテンツ(番組)の不足はもはや決定的で、逆に考えるとテレビ会社や映画会社の独占であった動画の制作・配給について、こんなに敷居の低くなってきている時代は今だかつてないように思います。今までの参入障壁であった、「ものすごく高価な映像機材」「放送を規制する法律」「操作に高度なスキルと熟練を要求する編集作業」等々がどんどん低くなってきているわけです。普通のCM程度だったら映像だけなら本当にPremiereで充分です。放送に関しても「どこまでを放送と見なすのか」ものすごく議論されていますから、これも程なく規制緩和の方向に向かうでしょう。そんなものです。

そこで、これからCGクリエーター等を目指す人たちはどうすべきか。正解などないのですが、「パソコンソフトを操作できるからといってCGクリエーターになれるとは限らない」のは確実です。逆に「イラストや絵コンテの作成が異常にうまい、あるいは突拍子もないストーリーが頭から沸いてでてくる人にパソコン操作を教える」ほうがはるかに期待できるでしょう。さて、あなたはどちらのタイプ?