ITスキル標準

「ITスキル標準」という言葉をご存知でしょうか?独立行政法人情報処理推進機構(IPA)がとりまとめを行っている情報処理技術者の技術レベル(ITスキル)を一般化しようという取り組みです。

そもそも情報処理の技術というものは大変一般の方にはわかりにくいものです。現在進行形で新しい技術が生み出され、Windowsを始めとするオペレーションシステム(OS)もその機能を拡充しつづけ、インターネットの普及に伴いそれを悪用しようとする犯罪も複雑化し、それらを阻止しようとする技術も進歩し続けています。「枯れた技術」ではないのです。

ある程度枯れた技術(というと語弊がありますが)でしたら機能そのものに変わりはなく(時計の持つ「時を刻む」という機能は昔から普遍ですよね)周辺の要素が進化するわけですが(電波時計になって正確さが向上したり、対水圧が向上したり)、ちょっと前まで世の中に存在していなかったDVDとかICタグとか高速ブロードバンドとかが普及しようとすると、それに対応するためにOSはその中身を大きく変えざるを得ない場合があり、新しい技術ゆえにそれに対応できる技術者も試行錯誤を繰り返すことになるわけです。「進化の途中」にあるものの宿命と言えます。

現在はそんな進化の途中にあるものを利用して売上を伸ばしたり経費を削減したりしようとしているわけです。一般の方がその技術者の成熟度を測ろうとしてもかなり困難です。開発側も売上が必要ですのでやったことのない技術であっても「やれますよ」と答えますし、事実やったことのない事のほうが多いくらいです。ただ、「やれますよ」という言葉が「どのくらいの期間で」「どのくらいの費用で」「どのくらい正確に」達成可能かということは本来お客様にわかるものとして提示できなくてはならないと考えられています。

ところが、開発側の取りまとめを行うマネージャーに自前の技術を正確に把握する能力がないと事態は悲惨な方向に向かいます。「納期に間に合わない」「障害が勃発する」「予算が超過して赤字となる」わけです。本来は何事もなく情報システムが稼動することが当たり前なのですが、つまり問題を未然に防ぐことが重要なのですが、問題が発生してから対処していくことが当たり前の会社もあるわけです。本当に悲惨です。お客様も開発側の担当も。実際ストレスで自らの命を絶った例もあるくらいです。

そんなわけで技術者のレベルを目に見えるものにしようという試みは過去に何度もなされてきました。情報処理技術者の資格もその一つです。「知識だけでなくある一定の経験がないと次のステップ(資格)に進めない」制度が必要になってきたわけです。そして情報処理技術者も多様化してきたため、現在はITスキル標準という考え方で目に見えるものにしようとしているわけです。織田も開発を依頼する場合にこれらの考え方に従った要求をしています。誰にでも公平な考え方だと思っています。

IPAが示すITスキル標準というものは現在、マーケティング・セールス・コンサルタント・ITアーキテクト・プロジェクトマネジメント・ITスペシャリスト・アプリケーションスペシャリスト・カスタマサービス・オペレーション・エデュケーションと10のカテゴリに分類されています。昔の情報処理1種・2種ではとても分類しきれない多様性を既に持っているわけです。これらをこれから少しずつ解説していきたいと思います。