企業のIT化について

我がInterGateの業務のひとつに、IT戦略コンサルティングサービスがあります。これは、簡単に言えばお客様の企業にとって、「有益なIT化はどれか」の判断基準のアドバイス、あるいは計画の策定・導入マネジメントまでがサービス範囲になります。さて、「有益なIT化はどれか」はどうやったらわかるのでしょうか? インターネットが入ればOK? 全社でメールができればOK? 全社員にパソコンが支給される?…ちょっと順番に考えてみましょうか。

まず、社長さんはなぜIT化を考えるのでしょうか?「今からはインターネットの時代だから…」「みんな導入しているみたいだし…」「今なら補助金ももらえるし…」「なんか(インターネットで)すごく儲けている会社もあるようだし…」の根底には、「今、なんらかの対処をしないと今後絶対に状況がきびしくなる。あるいは最悪倒産する。」という危機感があります。その通りだと織田は思います。社長さんの経営に関する嗅覚はいつもほとんど正しいです。「IT化が必要だ」は現在正解に近いと思います。問題はその次です。

さて、どうやってIT化を進めるのでしょう?そもそもなぜ、IT IT と騒がしいのでしょう?理由は複数あるのですが、一つには販売形態の変化があります。以前のコラムでお伝えした「配送センター+流通」VS「倉庫+問屋+小売店」の関係です。いつでも業界は変化するのです。「生き残る企業は大きな企業でも伝統ある企業でもなく、変化できる企業だ」と某首相も言っていたではありませんか。

さらに「効率化の考え方の限界」という見方もあります。今まで、コストダウンは各部署・各部門で行われてきました。実際にずいぶんと企業に貢献してきたはずです。ところが各部署・各部門で限界近くまでコストダウンしても、まだ更なるコストダウンの要求はあるのです。でないと競争に敗れるかもしれないのです。高コスト体質というものは、なかなか自分では気が付かないものです。その答えを海外に求めることもあるでしょうし、内部に求めることもあるわけです。そこで「全体最適化」の考えが必要になります。部門を超えた全体の連携によるコストダウンが必要になるわけです。

BPR(Business Process Reengineering) 「業務再構築」とも呼ばれます。ルール(業務プロセス)を変えないとこれは実現ができないと言われています。さらに「判断の迅速化」も経営者の方の強い要望です。月次の収支報告では、過去の状態は把握できますが昨日一昨日の売上に見合った増産指示や価格指示はできないわけです。すでに大企業の主流は日時処理です。昨日の売上は今日知りたい。当然ですね。すべてIT化でしか実現が難しいものばかりです。

さて、今までの説明をまとめますと「サービスの向上」「コストダウン」「経営判断」などがキーワードになっていることがおわかりになるのではないでしょうか。いずれも収益に結びつく(直結していると言っていいでしょう)キーワードですね。そうなのです。IT化は収益に結びつくことが、まず第一です。パソコン全社員に配っただけではだめで、それが収益に結び付かないと意味がないのです。これにもう一つ「プロモーション(宣伝活動)」も入ってきますが、これはまた別の機会にお話します。

ここまで説明すると、「おお、それはもうわかっているから実際どうすればよいかを書けよ」という経営者の方の声が聞こえてくるようです。具体的に書きたいところですが、ここがコンサルタントとして一番難しいところなのです。ひとつとして同じ状況の企業さんがいないものですから、例しかあげられないのです。

本当に一例ですが、受注してから納品まで非常に手間と時間がかかる商品を手がけている企業さんが、IT化でお客さんの注文をモニターし、前もって御用聞きを行うことで受注漏れを激減させ、顧客満足度を向上させ、生産設備の有効活用も実現した、という例があります。インターネットのアンケートを活用し、顧客の嗜好を分析し、適切な商品の紹介によって効率のよい販売を実現した企業もあります。

やり方は千差万別といっていいでしょう。どこから始めるかも企業企業で違います。でも、IT化は上の事柄を意識しないとまったくの無駄な投資になりかねません。自分では、「このIT投資は、自信はあるけど確信が持てない」そんな経営者の方が意外と多いような気がします。投資額が大きいだけに決断は大変ですよね。でも、「今、投資しないと近い将来競合他社に負ける。」という嗅覚は正しいのではないでしょうか。経営者の皆さん、変化しつづける企業であってください。InterGateが応援します。