時間ロスを甘くみるな!

今日は時間ロスについて。先日「日経ストラテジー」に大変興味を引く記事がありました。外科手術のために必要な部材(滅菌されたメスや注射器、手袋やガウン等)をセットにして多大な販売を上げている企業の事例がありました。その根拠として時間ロスが売上に非常な影響を及ぼしているというのです。

一回の手術で部材の準備に3人で2~3時間(のべ人数で6~9時間ということですね)、人間ですから準備ミスが発生(約3%だそうです)その取り違えのために1手術あたり45分、金額にして4~6万の損失が発生していると推測されたそうです。しかも、部材は期限切れで廃棄されるものも多いらしくその廃棄ロスも多大と推測されました。

この「準備にのべ6~9時間」「取り違えミスで45分」を0にできないかがポイントなわけです。優秀な外科医は経験数がものをいうそうです(もし手術を受けるなら新米さんよりも「この手術はあなたで1000回目です」さんのほうが安心ですものね)。そんな優秀な外科医さんをくだらないミスで待たせてはいけません。万全な体制でどんどん手術をしていただくことが、病人のためですし、病院のためでもあります。

この話はとても興味を引きました。時間ロスが社会的にも経済的にも大きな損失に直結している例だったからかもしれません。このような「よくわかる」事例はむしろ少ないかもしれませんが、あなたの周りにも実はそんな事例が結構あるはずです。

よく壊れるコピー機が与える時間的損失を金額に直してみてはいかがでしょうか。配達して届けるものが1つ足りないばかりにもう一度それを探して届ける時間的損失、材料が足りないためにそれをあちこちに電話して確保しなければならない時間的損失、工場のレイアウトが散漫なために工員があちこち動き回る時間的損失、ホームページを更新するために一々HTMLエディタを開いて修正しFTPでアップロードする時間的損失・・・1年でいったいどれくらいの時間的な損失があるのでしょうか。そしてもし、その時間的損失がなかったら、どれくらいの経営改善ができるのでしょうか。残業代圧縮だけでなく、生産性の向上や人的な配置の見直しも可能かもしれません。

先の病院の例では年間2000件だった手術が3000件にアップした例もあるようです。なんと1.5倍です。手術スタッフは手術の15分前にセットを開くだけでよくなり、取り違えも激減、準備から後片付け時間も短縮されたそうです。これは社会的にも非常に大きな貢献だと思います。自社の業務改善は自社のためだけではなく、社会的にも意味のあることかもしれません。シビアに見つめてみませんか。