個人サービス競争

以前からサービスはどんどんマス(大衆)からパーソナル(個人)に向かっている趣旨のコラムを書いてきたつもりです。最近の新しいサービスの登場ぶりはすばらしいものがありますね。昔からの宅配牛乳が、別の食品や小物をいっしょに配達してくれるサービス、タクシー会社が買い物の代行や忘れ物のお届け、さらには玄関の閉め忘れまでチェックしてくれるそうです。大手スーパーはインターネット上で数千ものアイテムを購入可能にしていますし(一定金額以上の購入は配達料も無料だそうです)、薬の調剤と配達なども出てきているようです。

上のサービスは、実は狭いエリアでの個人向けサービスであることがお分かりになるでしょうか。大手スーパーといってもサービス地域は半径3Km、タクシーも距離に応じた配達料が必要なのでおのずと距離は限られる、牛乳屋さんは従来の配達経路に新しいサービスを付加したということで距離が縮まったわけではない・・・

インターネットは世界に向けて発信されていますが、実際に人々が生活する圏内としての行動エリアは実はさほど広いものではありません。毎日の行動を地図に書いてみるといかに狭いエリアで暮らしているかがよくわかると思います。ですので狭いエリアをターゲットにしたビジネスとインターネットは相性がよくないのではないか、と言われたことがありました。今でもそう言っている人がいます。事実今のビジネススタイルのままでインターネットを利用して売り上げが上がるかと言えば、答えはNoでしょう。上の事例はすべて今までのビジネススタイルでは続かないと思ったからこそ新しい方向として出てきたものと見るべきです。

今やサービスは完全に宅配(個人)の時代です。食料品や日用雑貨に限らず、一流ホテルやレストランのシェフが料理教室を自宅で開いたり、板前さんが自宅で寿司を握ってくれる時代です。お店をかまえてお客を待っていても来てくれるとは限りません。絶対にお店でないとできないサービスなのか、大手にかなわないのではないか、そんな需要があるのか、不安は尽きないと思います。こんな時こそ「古きを暖めて新しきを知る」、昔からの商店街や事業協同組合で手を組むべきです。自分だけでは足りないサービスを商店街でカバーする、顧客の管理は組合で行う、サービスを自宅へ届けるために足りないものをみんなでそろえる・・・必ず実現できます。あなたがやらなくても必ず誰かがやります。ならば地元に密着してサービスを提供してきたあなたがそれをやるべきでしょう。

自分の住んでいる地域が便利で、あなた自身が車で動き回るのに苦痛を感じていないなら、宅配サービスはそんなに必要ないでしょう。でも、年をとり動くのが苦痛になってきたとき、急に対応できない事態が発生したとき、個人向けのサービスを必ず利用します。ありとあらゆる業者にお願いします。個人向けの(宅配の)サービスを用意してください。